ディズニーED
2012.03.09 (Fri) | Category : memo
■ホテル、ゲストルーム
【ソクーロフ】
ホテルの部屋の中にもキャラクタ達の絵があるとは。
本当に徹底しているね、ここは。
【##NAME1##】
このホテルも、夢と魔法の王国の一部ですからねー。
あ、これ、実はお持ち帰りOKなんですよー、このミッキーのアメニティ。
【ソクーロフ】
……おそらく、それが魔法の呪文なのだろうね。
【##NAME1##】
確かに、魔法のように魅力的な言葉ですよねー、『お持ち帰りOK』って。
でも、博士がそんなこと言うなんて意外。
【ソクーロフ】
……いや、そちらではなく。
【##NAME1##】
え?
【ソクーロフ】
『ここは夢と魔法の王国』、それが魔法の呪文なのだろう。
君は自分で気付いているかい?
今日の君は、ことあるごとに、その言葉を口にしていた。
私に何かさせる度に、その呪文を唱え、躊躇する私の背中を押した。
【##NAME1##】
……私、そんなに言ってました?
【ソクーロフ】
言っていたよ。その言葉があるから、この施設内では、
大人が童心に還って遊ぶことも許される。
いい大人が、着ぐるみを見つけて、はしゃぐことも、
ネズミの耳を身に付けて歩くことも、ね。これは非常に興味深いことだ。
以前、君は電話でこう言ったね?
ここに来れば、「きっと博士も魔法にかかる」と。
そう聞いた時は、正直、俄かには信じられなかった。
しかし、今日の私は、君が予言したように、魔法にかけられていた。
ここに魔法が存在するとしたら、
『ここは夢と魔法の王国』、それが魔法の呪文なんだ。
つまり、今日一日、私に魔法をかけてくれたのは、##NAME1##、君だ。
【##NAME1##】
……フフッ。どこに居ても、博士は博士なんですね?
【ソクーロフ】
ん?
【##NAME1##】
遊ぶ場所に来ても、そんなこと考えて、分析までしちゃって。
今日くらいは、何も考えず、気楽に楽しんで欲しかったんですけどね。
【ソクーロフ】
##NAME1##……
【##NAME1##】
でも、何かと考え過ぎちゃうのは、博士の職業病?
っていうより性分かもしれませんね。
ここに来ても、あんまりリフレッシュできませんでした?
【ソクーロフ】
いや……そんなことはないよ。非常に刺激的な一日だった。
初めての場所で、たくさんの貴重な経験をした。
君が居てくれなければ、私には一生縁のない経験だっただろう。
【##NAME1##】
ええと、刺激とか経験とか抜きにして、
楽しかったですか? 単純に。
【ソクーロフ】
フッ。それは愚問じゃないかな?
私が、君と同じ時間が過ごせて、楽しくない筈がない。
【##NAME1##】
そうですか。それなら良いんですけど。
【ソクーロフ】
##NAME1##は? 私と居て、楽しめたかい?
【##NAME1##】
それこそ愚問じゃないですか?
私の気持ちなんか、聞かなくても解ってるくせに。
【ソクーロフ】
全てではないよ。
【##NAME1##】
(……本当かなあ?)
【ソクーロフ】
本当さ。
【##NAME1##】
……やっぱり解ってる。私、口に出してませんよ?
【ソクーロフ】
私に解るのは、ほんの少しのことだけだ。
相手の全てが解るなどと、おこがましい気持ちを持ってはいないよ。
そのような思い上がりを持つ者はカウンセラー失格だ。危険過ぎる。
【##NAME1##】
……。
【ソクーロフ】
それに、知識というものは不思議なもので、
知れば知る程、解らないことが多くなるものなんだ。
【##NAME1##】
……そう、ですか?
【ソクーロフ】
例えば、知識に形があり、それが円形だとしよう。
円の内側が『今、知っていること』、
円に触れている外側が『今、知らないこと』だ。
最初は円の直径が10cmだとしよう。
後に知識が増え、直径20cmの円になったとする。
円の面積が増えると、円周も長くなる。
円周が長い分、『知らないこと』に触れている面積も大きくなるんだ。
だから、知識が増える程、知らないことも増えてしまう。
正確には『自分にはまだ知らないことがある』ということを『知る』んだ。
【##NAME1##】
……。
【ソクーロフ】
出会った時と比べれば、私は君のことを知っただろう。
けれど、それは全てではない。
【##NAME1##】
(博士の手が私の頬に……)
【ソクーロフ】
私にはまだ、君について、知らないことが山程ある。
だから、私は知りたい。もっと、君のことを。
【##NAME1##】
博士は……
【ソクーロフ】
ん?
【##NAME1##】
ずるいです……そうやって、いつも言葉で……
【ソクーロフ】
おや。今日一日、魔法の呪文で、思い通りに、
私を操った魔法使いさんには言われたくないね?
【##NAME1##】
魔法使いなんて……
【ソクーロフ】
それに、あの青い三角帽子を私が被る代わりに、
私のお願いもひとつ聞いてくれる、
そう約束してくれたのは##NAME1##だろう?
【##NAME1##】
やっぱりずるいじゃないですか……
【ソクーロフ】
受け取ってくれないのかい? バレンタインのお返しは。
【##NAME1##】
……やっぱり、これが「してあげたいこと」なんですね。
じゃあ、「渡したいもの」は何ですか?
【ソクーロフ】
そちらはあとで。それより今は……
fin
-Sokurov @Japan Ending-
【ソクーロフ】
ホテルの部屋の中にもキャラクタ達の絵があるとは。
本当に徹底しているね、ここは。
【##NAME1##】
このホテルも、夢と魔法の王国の一部ですからねー。
あ、これ、実はお持ち帰りOKなんですよー、このミッキーのアメニティ。
【ソクーロフ】
……おそらく、それが魔法の呪文なのだろうね。
【##NAME1##】
確かに、魔法のように魅力的な言葉ですよねー、『お持ち帰りOK』って。
でも、博士がそんなこと言うなんて意外。
【ソクーロフ】
……いや、そちらではなく。
【##NAME1##】
え?
【ソクーロフ】
『ここは夢と魔法の王国』、それが魔法の呪文なのだろう。
君は自分で気付いているかい?
今日の君は、ことあるごとに、その言葉を口にしていた。
私に何かさせる度に、その呪文を唱え、躊躇する私の背中を押した。
【##NAME1##】
……私、そんなに言ってました?
【ソクーロフ】
言っていたよ。その言葉があるから、この施設内では、
大人が童心に還って遊ぶことも許される。
いい大人が、着ぐるみを見つけて、はしゃぐことも、
ネズミの耳を身に付けて歩くことも、ね。これは非常に興味深いことだ。
以前、君は電話でこう言ったね?
ここに来れば、「きっと博士も魔法にかかる」と。
そう聞いた時は、正直、俄かには信じられなかった。
しかし、今日の私は、君が予言したように、魔法にかけられていた。
ここに魔法が存在するとしたら、
『ここは夢と魔法の王国』、それが魔法の呪文なんだ。
つまり、今日一日、私に魔法をかけてくれたのは、##NAME1##、君だ。
【##NAME1##】
……フフッ。どこに居ても、博士は博士なんですね?
【ソクーロフ】
ん?
【##NAME1##】
遊ぶ場所に来ても、そんなこと考えて、分析までしちゃって。
今日くらいは、何も考えず、気楽に楽しんで欲しかったんですけどね。
【ソクーロフ】
##NAME1##……
【##NAME1##】
でも、何かと考え過ぎちゃうのは、博士の職業病?
っていうより性分かもしれませんね。
ここに来ても、あんまりリフレッシュできませんでした?
【ソクーロフ】
いや……そんなことはないよ。非常に刺激的な一日だった。
初めての場所で、たくさんの貴重な経験をした。
君が居てくれなければ、私には一生縁のない経験だっただろう。
【##NAME1##】
ええと、刺激とか経験とか抜きにして、
楽しかったですか? 単純に。
【ソクーロフ】
フッ。それは愚問じゃないかな?
私が、君と同じ時間が過ごせて、楽しくない筈がない。
【##NAME1##】
そうですか。それなら良いんですけど。
【ソクーロフ】
##NAME1##は? 私と居て、楽しめたかい?
【##NAME1##】
それこそ愚問じゃないですか?
私の気持ちなんか、聞かなくても解ってるくせに。
【ソクーロフ】
全てではないよ。
【##NAME1##】
(……本当かなあ?)
【ソクーロフ】
本当さ。
【##NAME1##】
……やっぱり解ってる。私、口に出してませんよ?
【ソクーロフ】
私に解るのは、ほんの少しのことだけだ。
相手の全てが解るなどと、おこがましい気持ちを持ってはいないよ。
そのような思い上がりを持つ者はカウンセラー失格だ。危険過ぎる。
【##NAME1##】
……。
【ソクーロフ】
それに、知識というものは不思議なもので、
知れば知る程、解らないことが多くなるものなんだ。
【##NAME1##】
……そう、ですか?
【ソクーロフ】
例えば、知識に形があり、それが円形だとしよう。
円の内側が『今、知っていること』、
円に触れている外側が『今、知らないこと』だ。
最初は円の直径が10cmだとしよう。
後に知識が増え、直径20cmの円になったとする。
円の面積が増えると、円周も長くなる。
円周が長い分、『知らないこと』に触れている面積も大きくなるんだ。
だから、知識が増える程、知らないことも増えてしまう。
正確には『自分にはまだ知らないことがある』ということを『知る』んだ。
【##NAME1##】
……。
【ソクーロフ】
出会った時と比べれば、私は君のことを知っただろう。
けれど、それは全てではない。
【##NAME1##】
(博士の手が私の頬に……)
【ソクーロフ】
私にはまだ、君について、知らないことが山程ある。
だから、私は知りたい。もっと、君のことを。
【##NAME1##】
博士は……
【ソクーロフ】
ん?
【##NAME1##】
ずるいです……そうやって、いつも言葉で……
【ソクーロフ】
おや。今日一日、魔法の呪文で、思い通りに、
私を操った魔法使いさんには言われたくないね?
【##NAME1##】
魔法使いなんて……
【ソクーロフ】
それに、あの青い三角帽子を私が被る代わりに、
私のお願いもひとつ聞いてくれる、
そう約束してくれたのは##NAME1##だろう?
【##NAME1##】
やっぱりずるいじゃないですか……
【ソクーロフ】
受け取ってくれないのかい? バレンタインのお返しは。
【##NAME1##】
……やっぱり、これが「してあげたいこと」なんですね。
じゃあ、「渡したいもの」は何ですか?
【ソクーロフ】
そちらはあとで。それより今は……
fin
-Sokurov @Japan Ending-
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